望ましい雇用水準の維持、物価の安定、国際収支の均衡の達成等を目的として景気変動を制御しようとする政策のことをいう。国全体の総需要をコントロールする総需要管理政策が主流をなしているが、特定の産業部門を対象とするミクロ政策や国際的立場での対策も重要性を増している。




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1.景気対策の登場

 1930年代の世界恐慌を機に登場したケインズ理論は、深刻化する失業を前に、政府による積極的な需要創出策を提唱した。それは「需要によって供給が決定される」との考え方から、雇用を増加させるには、それを必要とする需要を財政政策によって創出すべきだ、とするものである。ケインズ理論はその後継者により発展し、金融政策と連動させてさらに効果を高めるポリシーミックスとして各国の景気対策に用いられた。
 それは、不況期にはデフレ・ギャップ(総需要が完全雇用GDPを下回る額)を埋めるために需要刺激策を、景気過熱期にはインフレ・ギャップ(総需要が完全雇用GDPを上回る額)を埋めるために需要抑制策を行うものであり、その手段として、財政では政府支出と税制を、金融では金利と通貨供給量を動かすことによって、需要の動きを調整しようとするもの(総需要管理政策)であった。ケインズ理論は1950〜60年代において各国の経済政策に大きな影響を与え、短期的な景気対策だけでなく、中期的な経済計画(「経済計画」参照)にも取入れられた。

2.景気対策の新たな展開

 1970年代に入ると、先進工業国では総需要管理政策の採用にもかかわらず、失業率が高まり、物価も上昇し続けた(スタグフレーションの発生)。
 このような状況に対して、「政府は需要拡大策を行うべきでなく、むしろ、財政収支の均衡と通貨供給量の適正化に努めて、市場経済を混乱させないことが重要である」とするマネタリズムの主張や、「生産の基礎である労働・資本の供給が、税制やインフレによって阻害されており、減税などによる供給の増加を重視すべきだ」とするサプライサイド・エコノミックスの主張があらわれた。総需要管理政策は一定の成果をあげたが、一方では政府部門の拡大やインフレ基調の定着などの問題を生み、加えてグローバル化の進展によって、一国の経済政策ではコントロールできない分野が拡大したため、その有効性は弱まり、新たな景気対策の展開が求められている(「経済のグローバル化」参照)。

3.最近の景気対策

 金融システム不安やアジア経済危機を背景に、我が国の実質経済成長率は、97年度にはマイナスに転じた。デフレスパイラルの懸念を払拭することと、新たな発展に向けた構造改革が不可欠とされ、短期的な景気回復だけではなく、中・長期的な構造改革推進を目的として、3段階に渡る景気対策が実施された。
 第1段階として、直近するデフレスパイラルを回避するため、98年11月に「緊急経済対策」が発表された。この対策では、金融システムの安定化、中小企業の倒産防止や民間金融機関による貸し渋り対策、公共事業や恒久的減税による需要の拡大等が盛込まれ、減税を含めると事業規模24兆円と過去最大になった。
 第2段階として、景気の自律的回復の推進と構造改革の着手を目的とした「経済新生対策」が99年11月に発表された。これは、創業支援を中心とした中小企業政策、情報化・高齢化・環境問題に対応した公共事業等を中心に、事業規模18兆円となっている。
 第3段階として、21世紀の新しい経済社会への構造改革を推進することを目的とした「日本新生のための新発展政策」が2000年10月に発表された。この政策では、IT革命の推進、循環型社会の構築、高齢化対策、都市基盤整備の重要4分野を中心に、事業規模11兆円の事業を実施することとしている。