1.全国総合開発計画の役割
全国総合開発計画は、当面する地域課題と新たな時代への対応を図りつつ望ましい国土を築くため、どのように国土計画を進めていくかを提示するものである。
1962年に初めて策定(全総)されて以来、7〜10年ごとに見直され、69年には新全国総合開発計画(新全総)、77年には第三次全国総合開発計画(三全総)、87年には第四次全国総合開発計画(四全総)が順次策定されている。現在は、98年に策定された「21世紀の国土のグランドデザイン」が実施されている。
しかし、全国総合開発計画の大きな課題である東京一極集中の是正や、地方圏の均衡ある発展は、4次にわたる見直しでも依然解決されていない。
2.これまでの全国総合開発計画
(1) 全総
初めて全総が制定されたのは、日本が岩戸景気により高度成長経済へ移行し、工業の盛んな都市部と農村との人口分布や生活レベルの地域格差問題が顕著に現れてきた時期である。全総は、「拠点開発方式」を採用し、大都市圏からある程度離れた地域に、工業地域や都市を開発する拠点を配置し、それらを大都市圏と交通・通信網で結ぶことにより、工業や都市の分散と展開を図り諸問題を解決しようとした。
(2) 新全総
予想を上回る高度成長は大都市への人口、産業の集中をさらに助長し、過密・過疎問題が一層深刻化した。そのため新全総は、拠点開発方式をさらに発展させた「大規模プロジェクト構想★」を採用し、新幹線や高速道路などの全国的なネットワークによる国土利用の均衡化を目指した。
(3) 三全総
2次にわたるオイルショックを境にして、我が国経済は高度成長から安定成長へと移行し、大規模プロジェクトや通信網等の目標が現実に合わなくなった。三全総は、大都市への人口集中を抑制する一方で地方を振興し、過疎過密問題に対処しながら全国土の利用の均衡を図る「定住構想」により、人間居住の総合的環境の整備を目指した。
(4) 四全総
高次機能の東京への一極集中が進み、人口も再集中する一方、地方では急速な産業構造転換の中で雇用問題が深刻化する地域がみられるなどの課題が出てきた。四全総は「定住構想」に「交流ネットワーク構想」を加え、交通・通信のネットワークの整備や姉妹都市をはじめとする各地域間での交流を促進することによる、多極分散型国土の形成をめざした。
3.「21世紀の国土のグランドデザイン」について
98年3月に国民意識及び時代の潮流の大きな転換(グローバル化、IT革命の進展、急速な少子・高齢化の進行、地球環境問題)を踏まえ、新しい全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン−地域の自立の促進と美しい国土の創造−」が策定された。新たな全総では、新しい国土軸を文化と生活様式創造の基礎的条件である気候や風土、自然環境、交流の歴史的蓄積等の共通性に根ざした地域の連なりとし、「北東国土軸」「日本海国土軸」「太平洋新国土軸」「西日本国土軸」の形成に取り組むこととした。そして地域住民、ボランティア、民間企業等の「参加」と行政単位の枠を超えた地域間の「連携」により、東京一極集中のこれまでの国土構造から、多軸型国土への転換によって、多様な地域特性を十全に展開させた国土の均衡ある発展を実現し、人々に多様な暮らしの選択可能性を提供することが21世紀にふさわしい国土づくりであるとしている。
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