1.我が国流通構造の特色
我が国の流通構造を海外と比較すると、次のような特色があるといわれている。第一に卸売業、小売業とも店舗数が多く、しかも中小・零細規模の店舗の割合が高いことである。第二に1次卸、2次卸、3次卸などが介在し、商品の流通経路が多段階で複雑なことである。これは、小売業者が零細で数が多く、立地が分散しているため、流通単位が小口化することによると考えられる。第三に、建値制★やリベート★、委託販売と返品制★などの我が国独特の商慣行が存在することである。
これらの特色によって我が国の流通構造が非合理的、不透明なものとなり、海外企業の参入を阻み、内外価格差や流通コストの増大を招いて、消費者の不利益になっていると諸外国から非難されている。
2.流通構造の変化の背景
近年、我が国の流通構造は大きく変わりつつある。その背景には次のような状況の変化がある。
(1)情報通信技術の発展により、POS★、EDI★の導入など、流通の情報化・ネットワーク化が進行したこと。
(2)90年代に入って外国資本が日本の流通業に本格的に進出し、流通市場の国際化が進展したこと。
(3)89〜90年にかけての「日米構造協議」を契機に、我が国の流通政策が市場開放、自由競争の促進へと転換したこと。これにより規制緩和が進み、大型店が多数新設されることとなった。
3.流通構造の情報化・ネットワーク化
流通の情報通信ネットワーク化により、業務の効率化や迅速な商品管理、顧客管理が可能になり、取引や経営の効率化が進んでいる。これに伴い、情報化に対応できない卸売業者の排除・選別や、メーカーと小売業者の直接取引による卸の中抜きが起きており、流通経路の短縮化・集約化が進んでいる(図1)。
メーカーと小売業者の直接取引の増加に伴って卸売業の役割も変化してきており、共同仕入れによる低コスト化、輸送・在庫管理等の物流機能や売れ筋商品・売り方等の情報提供機能の強化など、流通の効率的なシステムの構築が重要になってきた。
なお、インターネットの普及に伴い、企業間電子商取引★(B to B)の市場規模は、電子商取引推進協議会の調査によると、2000年度は21兆5,970億円と急成長している(図2)。
4.小売業の変化
小売業者の大型化・広域化による大量販売力を背景に、商品の価格形成がメーカー主導からより消費者に近い立場の小売業者主導へと変化している。
また、低価格化が進むなかで、従来のリベート体系を簡素化し、自らコスト計算を行って販売価格を設定するオープン価格制をとる小売業者が増加し、建値制が崩れつつある。
さらに、委託販売・返品制度の弊害が指摘されるなかで、商品の完全買取制を進めたり、プライベートブランド★商品の開発に取り組み、自ら商品の企画・製品化・販売を行う小売業者が現れてきた。
5.消費者ニーズに対応した販売形態の出現
不況の長期化のなかで低価格志向が定着しつつある一方で、商品の品質や個性を重視する傾向も強まり、消費者のニーズはますます多様化している。
このような需要に対応して、販売形態も多様化している。特定の分野に集中して幅広い品揃えを図り、低価格で販売するカテゴリーキラー★、チェーン展開している超大型のドラッグストア、メーカーの在庫処分品や返品商品などを低価格で販売するアウトレットストア★、1ヵ所であらゆるものが揃う「ワンストップ・ショッピング性」を備えたパワーセンター(ディスカウントショップの集合体)、などが注目されている。
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