1.社会保障制度の仕組み(表)
我が国の社会保障制度は、(1)生活保護などの、国が生活困窮者に健康で文化的な最低限度の生活を保障する所得保障制度である公的扶助、(2)健康保険、年金保険、介護保険、労働災害保険など、原則として加入者の負担によって給付がまかなわれる社会保険、(3)児童、障害者、高齢者などが社会生活を営むのに必要な能力の育成、回復、補強のために、一定の財・人的サービスを供給する社会福祉、(4)結核予防や栄養改善などを行う公衆衛生、(5)国民の老後における健康の保持と適切な医療を確保するため、総合的な保健医療サービスを提供する老人保健、の5部門がある。これらを狭義の社会保障といい、戦争犠牲者対策と恩給を含めたものを広義の社会保障★という。このほか、社会保障関連制度として、住宅対策(公営住宅の建設)と雇用対策(失業対策)がある。
2.社会保障給付費と国民負担率
我が国の社会保障給付費は、近年、国民所得の伸びを上回って増加しており、97年度には69兆4千億円に達し、国民所得の約17%を占めている(図1)。また、社会保障給付費の増大に伴い、社会保障関係費の一般歳出に占める割合は約35%となっている(「国の財政」参照)。ただ、我が国の国民負担率(「財政改革」参照)は、先進諸国の中では、必ずしも高くはない(図2)。これは、現時点で西欧諸国ほど高齢化が進んでいないことや、年金制度の未成熟(年金保険の被保険者に対する年金受給者の比率が低いこと)によるものである。しかし、我が国の場合、高い水準の公的サービスと国民負担率のギャップを財政赤字で埋めており、財政赤字を含めた潜在的国民負担率はヨーロッパ諸国に近い高水準となっている。
今後、急速な少子・高齢化の進展により、国民負担率の上昇、とりわけ現役世代の負担増は避けられず、経済活力の低下が懸念されている。社会保障に要する費用の増加に対応しつつ、活力ある経済社会を維持していくためには、給付と負担の効率化、適正化に取り組むなど、持続可能な社会保障制度を確立することが課題となっている。
3.社会保障構造改革
政府は、96年の社会保障関係審議会による「中間まとめ」や試算に基づき、高齢者介護など国民の需要にこたえながら、「高齢化のピーク時に国民負担率50%以下」を目安に、社会保障構造改革を推進している。その方向としては、(1)制度横断的な再編成等による全体の効率化、(2)個人の自立を支援する利用者本位の仕組みの重視、(3)公私の適切な役割分担と民間活力の導入の促進、(4)全体としての公平・公正の確保、の4つが挙げられる。
具体的な取り組みとしては、介護保険制度が2000年4月から実施された(「社会福祉」参照)ほか、医療制度、医療保険制度(「医療」参照)や年金制度(「年金」参照)の見直しが行われている。また、社会福祉の分野では、97年に児童福祉法を大きく改正したほか、現在、社会福祉基礎構造改革(「社会福祉」参照)が進められている。
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