地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、森林の減少、砂漠化、野生生物種の絶滅、海洋汚染など、その被害や影響が一国内に留まらず、国境を越え、地球規模にまで及ぶ環境問題をいう。







1.地球環境問題の発生

 地球環境問題が生じた背景には、先進国を中心とする経済活動の高度化による資源やエネルギーの過剰消費があり、一方で、途上国の貧困と人口の急増による過放牧・過耕作や、環境対策の不十分な状態での工業化の進展がある。
 その多くは長い時間をかけて徐々に深刻化するため、被害が明らかになってから対策をとったのでは手遅れとなり、現在だけでなく将来世代にも影響を及ぼす恐れがある。

(1) 主な地球環境問題
(1)地球温暖化図1図2
 化石燃料の燃焼、森林の減少等によって二酸化炭素やメタン等の温室効果ガスが増加し、地球全体の平均気温が上昇すること。気候の変動、海面水位の上昇、農作物への被害が懸念されている。

(2)オゾン層破壊
 大気中に放出されたフロン・ハロンなど人工の化学物質が成層圏オゾン層を破壊し、地表に到達する有害紫外線の照射量が増加すること。皮膚がんの増加、生態系への悪影響が懸念されている。

(3)酸性雨
 石炭、石油等の化石燃料の燃焼時に生じる硫黄酸化物や窒素酸化物等が大気中に取り込まれて生じる酸性の降下物。魚の死滅や森林の枯死等、生態系への影響が懸念されている。近年めざましい経済発展を遂げている東アジアでは、エネルギーを石炭に依存する国が多く、硫黄酸化物や窒素酸化物の排出量が大幅に増加している。

(4)有害廃棄物の越境移動
 廃棄物の発生量増大と内容の複雑化にともない、発生国外での廃棄物処理が行われるようになったが、受入国で適正な処分がなされず環境汚染につながる事例が発生している。日本では99年に注射器等の医療廃棄物を含むごみが「再生用古紙」と偽ってフィリピンに違法に輸出されたことが判明し、日本へ送り返されるという事件が発生した。

2.地球環境問題への取り組み

(1) 国際的取り組み
 地球環境問題は、影響が一国内に留まらず、国・地域単位での解決は困難であり、国際的に連携した取り組みが必要である。72年にストックホルムで国連人間環境会議が開催されて以来、地球環境についての国際会議や取り決め等、様々な国際的取り組みがなされてきた。92年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された「環境と開発に関する国連会議(地球サミット)」は、地球環境問題に関して史上かつてないハイレベルかつ大規模な会議となった。この会議において、「リオ宣言」やその具体的な行動計画「アジェンダ21」の採択等、持続可能な開発に向けた世界的な合意が形成された。
 地球温暖化に関しては、92年に温室効果ガス濃度の安定化を目的とした気候変動枠組条約が採択され、2000年11月のオランダ・ハーグ会議まで6回の気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されている。97年京都で開催された第3回会議(COP3)では、温室効果ガス排出削減の数値目標、目標を達成するための国際的な仕組み(京都メカニズム)等を定めた京都議定書表1)が採択された。現在、具体的なルール作り等、その発効に向けた取り組みが行われているが、ハーグ会議では各国の激しい利害対立から会議が決裂する等、交渉は非常に難航している。
 オゾン層の破壊については、85年にオゾン層の保護のためのウィーン条約、87年に具体的な規制を盛り込んだモントリオール議定書が採択され、その後、規制スケジュールの前倒し等、規制強化が行われている。代表的なフロンであるCFC(クロロフルオロカーボン)の生産禁止等、先進国を中心に取り組みが進められているが、途上国の消費量が増加している今日、途上国での対策とそれに対する支援が一層重要となっている。
 酸性雨については、東アジア地域における地域共同の取り組みの第一歩として「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」の正式稼働に向けた取り組みが現在進められている。
 海洋汚染については、ロンドン条約等全世界的な取り組みのほか、UNEP(国連環境計画)の推進する地域海(日本海等の閉鎖的な海)計画等、海域を共有する周辺国による地域的な取り組みが行われている。


(2) 国内の取り組み
 我が国では、地球環境時代にふさわしい新たな環境政策の展開を図るため、93年に地球環境保全の基本理念や施策の枠組みを定めた「環境基本法」を制定した。さらに94年、同法に基づき、環境政策の基本的な方向を示した「環境基本計画」が策定され、定期的に点検・見直しが行われている。
 最重要課題である地球温暖化問題については、98年にライフスタイルの見直しを中心に、政府として緊急に推進すべき温暖化対策を取りまとめた「地球温暖化対策推進大綱」の決定、99年「地球温暖化対策推進法」の施行等、地球温暖化対策の推進が本格的に始動した。また、99年の改正省エネルギー法の施行や、自動車関連税制のグリーン化等、様々な施策がなされている。

3.環境保全の手法

(1) 経済的手法
 環境保全の手法として、従来の規制的手法では限界があるとの認識から、新たな政策手法として経済的手法が注目されてきた。経済的手法とは、市場メカニズムを通じて経済的な誘因を与えることにより、経済主体を環境保全に適合した行動をとるよう促す政策手法である。代表的なものに、税・課徴金や排出量取引がある。経済的手法は直接規制と比較して、(1)目標のレベルをより少ないコストで達成することができる、(2)規制値をクリアした後も、さらに汚染量の削減を促す効果がある、等の点で優れているとされる。諸外国ではすでに環境政策の重要な手法として活用されている。

  • 税・課徴金 環境への影響に応じて税金や課徴金をとり、環境汚染物質の排出や、環境に悪影響を与える製品の生産・消費を削減・抑制しようとするもの。地球温暖化対策として、ガソリンやガス、電力などのエネルギー消費に対する課税の導入が、近年ヨーロッパ各国で進んでいる(表2)。その他、使い捨て容器に対する課税や排水課徴金等の例がある。
  • 排出量取引 あらかじめ汚染物質の総排出量を定め、事業者等の排出源にそれぞれ許可排出量を割り当て、それを売買する権利として認めるという手法。排出量の規制目標値を効率的に達成すると考えられており、硫黄酸化物についての導入例がある。また京都議定書には、温室効果ガス削減のための仕組みとして、排出量取引の導入が明記された。


(2) 税制のグリーン化
 「環境税」の導入だけでなく、環境に悪影響をもたらす既存の税制度や補助金の廃止・修正など、税制度を環境保全により適したものに構築する税制のグリーン化が注目されている。2001年度の税制改正では、自動車税に2年間グリーン税制が導入される。具体的には、2001、2年度に新車登録された、低公害車(電気自動車等、ガソリンや軽油を使わないもの)や、排ガスが最新規制値を下回りかつ低燃費の自動車は、税率が最大で50%軽くなる。逆に、新車登録から11年を超えたディーゼル車と13年を超えるガソリン車は税率が10%重くなる。従来の、自動車取得税の低燃費車や低公害車に対する軽減と合わせて、2000ccの車で、最大54,000円軽減される。