家計の財・サービスに対する支出を個人消費といい、可処分所得と消費態度によって決定される。また、可処分所得から消費支出を差し引いたものを個人貯蓄という。


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1.個人消費の動き

 個人消費は93年以来実質で7年連続減少となるなど、低迷が続いている(図1)。この要因として、(1)バブル崩壊以降の所得の伸び悩みと失業者の増加、(2)97年4月の消費税率の引き上げ、(3)年金・医療・社会福祉制度改革(「年金」「医療」「社会福祉」参照)による将来の家計への不安、(4)97年の金融システム不安による消費マインドの悪化、などがあげられる。
 ただし、単身世帯に限ってみると、交通通信費や教養娯楽費の伸びから99年には実質で3.0%増加とプラスに転じている(単身世帯収支調査結果)。

2.消費内容の変化

 消費の内容をみると、長期的には食料費が減少してきており、交通・通信費等のサービス支出が増加している(図2)(家計消費のサービス化「経済のサービス化・ソフト化」参照)。
 情報・通信関連支出は、近年、単身世帯と世帯主が20代の世帯での増加が著しく(図3)、これらの世帯を中心にパソコン、ファックス、携帯電話など情報・通信関連の耐久消費財が急速に普及してきている。

3.個人消費を巡る環境

 長引く景気の低迷、安価な海外製品の流入、規制緩和による商業形態の変化等を背景に低価格志向が強まる一方で、品質や個性を重視する傾向も強まり、欲しいものを選別して集中的に支出する動きがみられる。これは、消費全体の伸びを抑えざるをえないなかで、消費の満足度をできるだけ高めようとする消費行動の反映と考えられる。
 また、インターネットを利用した電子商取引(「企業の情報化」参照)が急速に普及しつつあり、消費者向けの電子商取引の市場規模は、2000年には8,240億円と急成長している。

4.個人貯蓄の動き

 1世帯当たりの平均貯蓄額は増加傾向が続いており(図4)、99年末では1,393万円となっている(勤労者世帯)。この99年末貯蓄額の世帯分布は、平均値を下回る世帯が全体の66.8%を占め、最頻値は372万円、中位数は901万円と貯蓄の低い方に偏った分布になっている。貯蓄を種類別にみると、定期性預貯金が42.7%を占め、次いで生命保険が32.7%、通貨性預貯金が10.9%となっている。また、公的年金など将来への不安感から貯蓄率(貯蓄純増÷可処分所得)は増加傾向が続いている。

5.消費者問題

 近年、不況による中高年の自己破産や多重債務が増加している。多重債務者は150万人以上ともいわれ、自己破産申立件数は88年度の9,415件から98年度には103,803件と急増している(図5)。背景にはリストラや倒産による失業のほかに、消費者信用業界の高金利融資の増大や無人・自動契約機、電話キャッシングなど非対面契約の急増があるとみられる。
 また、 インターネットの普及とともに電子商取引を巡って、事業者のくもがくれ、第三者のなりすまし、個人情報の流出等の問題が増加しており、国民生活センターへの苦情件数は、95年度の5件から99年度には1,055件に急増している。
 こうした消費者トラブルの急増に対し、97年には製品関連事故における消費者被害の防止と救済を目的とした製造物責任法(PL法)、2000年には消費者取引の適正化を目的とした消費者契約法など、消費者保護関連の法律が整備されている。今後は、消費者信用保護法等の制定が求められている。