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3.ITの日本経済への影響
(1) 需要・供給
ITの需要面への影響としては、情報化投資の伸びが最近の景気の改善にもプラスに寄与していること(「投資」・「企業の情報化」参照)、また、家計消費の中でIT関連支出が増加しており、消費を下支えしていること(「個人消費・貯蓄」参照)が挙げられる。
供給面への影響としては、生産性の向上★(「産業構造」参照)が挙げられ、90年代後半からIT投資の生産性押し上げ効果が確認されている。なお、IT関連の財・サービスそのものを生産し、最近の景気改善に寄与している産業の成長には、技術・知識が大きく寄与していると考えられている。
(2) 雇用
IT革命は業務の変革を通じて労働需要の構造を変化させている。ITにより情報の処理と伝達のコストが低下したことから、ホワイトカラー、特に中高年層の労働需要が減少した。一方、その企業の環境を熟知した正社員でなくても対応できる業務が増加したことから、情報関連の新規求人数や派遣労働者数が増加傾向にある。また、通勤が難しい子育て中の主婦などのテレワーク★やSOHO★が可能となり、新しい就業形態が生まれている。
(3) 金融
ITの発達は、実体経済のみでなく、金融部門にも大きな影響を及ぼしている。従来から進められてきた金融取引の電子化に加え、近年は消費者との取引についてもインターネットバンキングやインターネット株取引などが導入され、利便性が向上している。デリバティブ(「金融市場」参照)など新金融商品の売買やリスク管理にもITの進歩は多いに役立っている。
しかし、IT等の新技術が金融資本市場を不安定なものにしている面もある。インターネットによる株取引の増加で、他の市場参加者の行動をまねた安易な売買が増加し、市場の振れが大きくなっているという指摘があり、また、97年のアジア経済危機のように、短期間に多額の資本移動が起き、金融市場が不安定化するケースがある。
4.家庭の情報化
インターネットは、個人が世界中の情報にアクセスできるだけでなく、容易に世界中へ情報を発信できる手段を得たことに大きな意義がある。
しかし、家庭でのインターネットの普及率は、19.1%で、企業や事業所に比べればまだ低く(図3)、家庭の情報化を進めるためには、安価にインターネットに常時接続できるような通信インフラの整備が求められている。
また、今後家庭に普及すると期待されているものに家庭内ネットワーク及びそれに接続される情報家電(情報通信機能を組み込み、高機能化・ネットワーク化した家電製品)があるが、現状では、まだ手探りの段階である。
5.公的部門の情報化
(1) 行政
行政の情報化は、(1)行政内部の情報化(職員一人1台パソコン配備や中央省庁におけるLAN〈庁舎内ネットワーク〉、霞ヶ関WAN★〈省庁間ネットワーク〉等)と、(2)官民接点の情報化(ホームページを利用した情報提供や申請・届け出等手続きの電子化、ワンストップサービス★等)に大別され、現在は「電子政府の実現」(「情報通信政策」参照)として、一体的に進められている。行政の情報化は、行政運営の簡素化・効率化や行政サービスの飛躍的な向上につながることから、行政改革を推進するための重要な手段と位置づけられている。
(2) 教育
近年はデジタル・デバイド★と呼ばれる情報格差が問題になっているが、国民の情報リテラシー★向上のために、情報教育の普及およびそのための環境整備が不可欠となっている。現在、「教育の情報化」プロジェクト(「情報通信政策」参照)として基盤整備や人材育成、中学校や高等学校での情報関連科目必修化などの対応がなされている。また、現在の大学教育に対しては、職業上必要な知識育成の場としての期待には十分こたえていないという批判があり、将来の我が国の技術開発力を高める意味でも教育内容の充実を図る必要がある。
(3) 医療・保健・福祉
医療の情報化は、医療における情報開示を促進するなど、医療制度そのものを変化させるものと考えられている。現在は、医療画像情報の電子化やカルテの電子化、情報通信を利用した遠隔地医療といった新たな取り組みが進められている。また、保健・福祉分野では、一人暮らしの高齢者や障害者など誰もが簡単に利用できる情報サービスや健康情報管理システムが求められており、研究開発が進んでいる。
6.情報化社会の課題と対応
社会の情報通信ネットワークへの依存が進んだ今日、コンピュータウィルス★やクラッカー★によるコンピュータへの不正アクセスは、社会全体に重大な損害を与えることが懸念されている。このため2000年2月に「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」が施行されるなどセキュリティ確保へ向けた取り組みが始まっている。
インターネットの中では顔を合わせることもなく、本人が意図して身元を隠すことが容易にできることから、違法・有害情報の流通や詐欺、名誉毀損等の犯罪が問題となっており、ホームページのレイティング(格付け)やフィルタリング(選別)に関するソフトが商品化されている。
また、インターネット上での個人情報の漏えいやプライバシーの侵害が問題となっており、個人情報保護法の制定準備が進められている。
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