一定期間(通常1年間)に、一国内の生産活動によって新たに生み出された財・サービスの付加価値額の合計をいう。



用語解説へ用語解説へ
● 三面等価の原則
 経済活動は、生産→分配→支出という循環を繰り返すが、これらは同一の価値の流れを異なった側面からとらえたにすぎないので、概念上の調整を加えると、生産=分配=支出となる。




用語解説へ


1.GDP(国内総生産)の概念

 企業などの生産者は労働者や機械を使い、他の企業から原材料、電気・ガス、輸送サービスなどを購入して財貨やサービスを生産する。この生産された財貨やサービスの額(国民経済計算では産出額という)から原材料、電気・ガス、輸送サービスなど他の生産者から購入した分(同中間投入額)を差し引いた額がその生産者の新たに生み出した付加価値であり、その一国の合計額がGDPである(図1)。

2.国民経済計算

 GDPは国連の基準に基づいて体系化された国民経済計算によって推計される。国民経済計算はさまざまな統計数値をもとに、その概念に基づき推計された加工統計である。一国経済の状況を包括的に知るうえで最も重要な統計であり、経済政策を運営する上で欠かせないものとなっている。 我が国では93年に国連で採択された国際基準である93SNA(A System of National Account)に基づいた推計結果を2000年10月に公表している(従来は68SNA基準)。

3.GDPとGNP(国民総生産)

 GDPは生産者が日本人であると外国人であるとを問わず、国内で生産された付加価値の総計である。一方、GNPは生産の場所が国内であれ、国外であれ、日本人が受け取った所得の総額をさす。
GNP=GDP+海外からの要素所得(純)(純は出し入れの差し引き)
 国内の景気動向を把握するには経済主体の国籍にかかわらず、国内のすべての経済活動を対象としたほうがよいとの観点から、近年はGNPよりGDPが重視されている。
 なお93SNAではGNPはGNI(国民総所得)に用語変更された。

4.経済成長率

 景気の善し悪しを判断するとき、その基本的な判断材料となるのが経済成長率である。経済成長率はGDPの伸び率を意味し、通常対前年(度)比、あるいは対前期(四半期)比で示される。経済成長率は、通常物価の変動による影響分を除去した実質経済成長率が利用される。

5.三面等価

 GDPは前述の「GDPの概念」で定義される「生産面」(供給面)からみても、各経済主体に分配された後の「分配面」からみても、最終生産物の「支出面」(需要面)からみても、定義上等しくなる()。

(1) 分配面からみたGDP
 生産者が生み出した付加価値は、雇用者所得(賃金、俸給)や営業余剰(企業)などとしてのどれかに分配される。雇用者所得の一部は所得税や社会保険料として政府に支払われ、営業余剰の一部は利子・配当として家計へ、あるいは法人税として政府に支払われる(再分配される)。
 固定資本減耗は会計上の減価償却費に当たるもので、(間接税−補助金)は直接税以外の政府の純受け取りを表している。GDPは、そのすべてが家計、企業、政府のどれかに分配されて所得となり、この所得は消費されるか、貯蓄される(固定資本減耗は現実には生産者の手許に残るため、貯蓄とみなすことができる)。

(2) 支出面からみたGDP(国内総支出〈GDE〉)
 付加価値の合計額すなわちGDPは、一定期間に国内で生産された最終生産物の合計額に等しいとも言える。最終生産物とは総生産物から中間消費(企業が生産するために必要な原料、燃料、輸送サービス、用紙類、その他の財・サービス)を差し引いたものであり、家計、政府によって購入される消費財・サービスや企業などによって購入される設備投資(固定資本)などがある。
 このように需要面、つまり家計、企業、政府(及び輸出部門)といった需要者の支出によって購入される最終生産物からみたGDPは、国内総支出(GDE)とも呼ばれる。
 内閣府の四半期別GDP統計速報(QE)では、推計資料上の理由からGDEがGDPとして公表されている。

(3) 三面等価と在庫
 国民経済計算は生産、分配、支出の三面が等しくなるものとして定義されているが、現実の経済において、生産主体と需要主体(家計・企業・政府)が異なる以上、生産された財・サービスが常に生産者の計画どおり販売されることはない。実際の供給と需要の不一致を埋めるものは在庫である。例えば売れ残りがあれば在庫増として、生産よりも販売が多ければマイナスの在庫として計上される。
 在庫が需要サイド(支出面)に計上されることによって、三面等価が成立することになる。

6.貯蓄・投資バランス

(1) 経常収支との関係
 国民経済計算上、国内の貯蓄と投資の差額は経常収支(厳密には資本移転〈純〉が加わる)に等しくなる。
(貯蓄は海外からの要素所得〈純〉を加えた概念であるため、ここではGDPと同じく定義上、三面等価が成り立つGNPで説明)
 分配面からみたGNP=消費+貯蓄…(1)
一方、
 支出面からみたGNP=消費+投資+純輸出+海外からの要素所得(純)…(2)
 (投資=総固定資本形成+在庫純増)
(1)−(2) から 貯蓄−投資=経常収支
(厳密には経常収支には純輸出+海外からの要素所得〈純〉のほかに経常移転収支が含まれる(「国際収支」参照))。
 この式から分かるように、例えば経常収支尻が大きいということは国内の需給の開きが大きいことを意味する。
 国民経済計算では、我が国の98年の貯蓄投資差額は図2のとおり13.9兆円の貯蓄超過となっている。我が国では家計部門の貯蓄率が高いことから80年代以降ほぼ一貫して貯蓄超過となっている。


(2) 民間の貯蓄超過と財政赤字、経常収支との関係
 国内部門を民間と政府に分けると、民間部門の貯蓄超過は政府の財政赤字と経常収支の和に等しくなる。
 なお、ここでいう民間部門の貯蓄は、家計や企業に最終的に分配されたGNPのうち消費されなかった分であり、固定資本減耗を含む。
 分配面からみたGNP=民間消費+民間貯蓄+租税
=支出面からみたGNP=民間消費+民間投資+政府支出+経常収支

したがって、
  民間貯蓄−民間投資=(政府支出−租税)+経常収支
  (民間貯蓄超過)     (財政赤字)