1.原指数と季節調整済指数
経済指標や時系列データを分析する際、単純に原系列の推移を見て動向を判断しても、分析の目的によってはあまり有効な結論を得ることはできない。
図1は年次別に鉱工業生産指数の月別動向を示したものである。これをみると、毎年3月が最も高く、1月や8月が低くなっているなど1年を通じてある一定の変動パターンがあることがわかる。
鉱工業生産指数から生産活動をみた場合、毎年ボトムとなる1月や8月と、ピークの3月の指数を単純に比較しても、1月や8月よりも3月の方が鉱工業の生産活動が好調であったと判断することはできない。1月が低く、3月が高いことは季節的に当然のことだからである。
そのため、あらかじめ1年間の季節要素による変動パターンを何らかの方法で推計する必要がある。季節要素を除去した結果、1月が低下していても例年と比較して低下幅が小さければ好調であったと考え、反対に3月が高くても例年と比較して上昇幅が小さければ低調であったと分析することができる(図2)。
2.季節調整方法
季節調整の最も一般的な方法は、過去の一定期間の原系列を用い、あらかじめ典型的な季節変動パターンを計算し、それを季節指数とし原系列を調整する方法である。調整後の系列を季節調整済指数という。
季節指数の作成方法には、月別平均法、連環比率法、移動平均法などがある。また、それぞれに固定季節型(毎年一定であると考える)と、可変季節型(毎年少しずつ変化していくと考える)があるが、現在では可変季節型が主流となっている。
3.移動平均法
表1は、例えば2000年4月については3月〜5月の、5月については4月〜6月の平均値というように1ヶ月ずつずらした各3ヶ月の平均値を期間の真中月の値としたものである(3ヶ月移動平均)。
各月の特殊事情によって生じた不規則変動はこれによりかなりならされる。
また、原系列に一定期間を周期とする変動が含まれている場合には、その周期にあわせた月数をとって移動平均すれば周期変動を取り除くことができる。したがって、12ヶ月を移動平均すれば1年を周期とする季節変動が除去された系列が作成できる。
4.12ヶ月移動平均法を用いた季節指数の作成
こうして作成された12ヶ月移動平均法は、12ヶ月移動平均で原系列を除すことにより、月別の季節・不規則変動要素を導きだすことができる。次に、その一定期間(例えば5年間)の月別の平均値をとり、これを年平均100となるように調整したものが季節指数となる。
12ヶ月移動平均法を用いた季節調整法は各種の季節調整法の基礎といえるものであり、広く応用されている。
5.センサス局法(X-12-ARIMA)★
97年にアメリカの商務省センサス局が、79年9月から12ヶ月移動平均法を基礎として採用していたX-11(操業日数を標準日数に換算する調整)に、新たな機能(2曜日・祝祭日調整、うるう年調整)を付加したX-12-ARIMA(調整手法はより安定性に優れている)を公開し、各種統計調査に適用されている。
我が国では、日本銀行がいち早く96年10月からマネーサプライ関連統計などに、また、財務省が98年3月から国際収支統計について適用し、その後各省庁でも順次適用されている(表2)。
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